最終更新日2024.8.29(公開日:2024.8.29)
監修者:営業責任者 渥美
産前産後休業(産休)中の従業員に対する社会保険料免除制度は、働く女性を支援するための重要な制度であり、母体の保護を目的としています。
社会保険に加入している方が対象です。この制度により、産休中の従業員と事業主の両方が社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の負担を免れることができます。
例えば、月額給与30万円の従業員の場合、約5万円(従業員負担分約2.5万円、事業主負担分約2.5万円)の保険料が免除されます。これは年間で約60万円の負担軽減になり、特に中小企業にとっては大きな経済的メリットとなります。
出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から出産の日までの期間。例えば、9月1日が出産予定日の場合、7月21日から9月1日までが対象となります。産前に出産予定日までギリギリまで働いていると、免除はされません。
出産の日の翌日から8週間を経過する日までの期間。9月1日に出産した場合、9月2日から10月27日までが対象です。
通常の場合、最長で産前6週間と産後8週間の合計14週間が免除の対象となります。
産前休業期間 出産日 産後休業期間 | | | v v v ----|------------------->|--------------->|---- 出産予定日の 出産日 産後8週間 6週間前(多胎14週間前)
社会保険料の免除は、産前産後休業を開始した日の属する月から適用されます。
具体例:
従業員が7月15日から産前休業に入り、10月27日まで産後休業を取得する場合
– 7月から9月までの3か月分の保険料が免除となり、10月分は含まれません。※月末に会社に在籍しているかが重要。
社会保険料免除を受けるためには、事業主が以下の手順で申請手続きを行う必要があります。
「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構のウェブサイト(https://www.nenkin.go.jp/)からダウンロードします。
申出書に、以下の情報を正確に記入します。
記入済みの申出書を、管轄の年金事務所または健康保険組合に郵送または持参して提出します。マイナポータルを利用して提出することも可能です。
申請は産休に入ってから行うことができます。以下の点に注意しましょう。
産後の申請も可能ですが、産休開始月の翌月末までに申請すれば、遡って免除を受けられます。例えば、7月15日から産休開始の場合、8月末までに申請すれば7月分から免除されます。ただ、産後に行われるより産休に入ったタイミングでの申請が一般的です。
申請を忘れると免除を受けられない可能性があります。人事担当者はカレンダーに申請期限を記入するなど、確実に申請手続きを行う仕組みを作りましょう。
予定より早く出産した場合(例:9月1日予定が8月15日に出産)や、産後の休業期間が変更になった場合は、速やかに年金事務所または健康保険組合に連絡し、「産前産後休業変更届」を提出します。
免除期間中の給付への影響はありますか?
社会保険料が免除されても、健康保険の給付や年金の受給権に影響はありません。免除期間中も保険料を納付したものとして取り扱われます。
パートタイム労働者も対象になりますか?
はい、社会保険に加入しているパートタイム労働者も対象です。
産休と育休を連続して取得する場合はどうなりますか?
産休期間中は「産前産後休業取得者申出書」、育休期間中は「育児休業等取得者申出書」をそれぞれ提出します。連続して社会保険料が免除されます。
社会保険料免除の申請手続きに不安がある場合は、社会保険労務士に相談するのがベストです。
産休中の社会保険料免除制度は、従業員と事業主の双方にとって重要な支援制度です。
適切に申請を行うことで、産休中の経済的負担を大きく軽減することができます。
特に、申請のタイミングや産休期間の変更時の対応には注意が必要です。
この制度を積極的に活用し、従業員が安心して出産・育児に臨める環境を整えることは、企業の社会的責任を果たすとともに、優秀な人材の確保にもつながります。社会保険料免除の適切な取り扱いは、とても大事なことです。
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