mudankekkin 会社を無断欠勤した場合の処遇は?社労士が解説する懲戒・解雇・給与の取り扱いと防止策
会社を無断欠勤した場合の処遇は?社労士が解説する懲戒・解雇・給与の取り扱いと防止策

最終更新日2025.7.10(公開日:2025.7.10)
監修者:営業責任者 渥美

社員の欠勤に悩んでいる様子

この記事でわかること

  • ・無断欠勤がどのような懲戒処分や解雇につながるか
  • ・無断欠勤時の有給休暇、給与、賞与への影響
  • ・会社がとるべき初期対応・手順、トラブル予防策
  • ・よくある失敗例と専門家(社労士)によるアドバイス

無断欠勤の定義と法的位置づけ

無断欠勤とは、事前の連絡や許可なく労働者が勤務日に出勤しないことを指します。
労働契約上、労働者には「労務提供義務」があるため、無断欠勤はこの義務違反となります。
就業規則で懲戒事由として規定されていることがほとんどで、懲戒処分や解雇に発展するリスクもあります。

無断欠勤と有給休暇の違いにも注意が必要です。

有給休暇は原則として事前申請が必要ですが、緊急時は事後の届出でも認められる場合があります。
また、無断欠勤でも会社の判断で事後的に有給扱いとすることも可能ですが、原則は労働者に不利益が生じないよう配慮が求められます。

無断欠勤による懲戒処分の種類

無断欠勤が発覚した場合、就業規則に基づいて以下のような懲戒処分を受ける可能性があります。

軽微な処分

  • ・口頭注意
  • ・始末書の提出
  • ・けん責(文書による厳重注意)

中程度の処分

  • ・減給(労働基準法第91条による上限あり)
  • ・出勤停止(無給での自宅待機)

重い処分

  • ・降格・降職
  • ・懲戒解雇

懲戒処分の選択は、無断欠勤の回数や期間、理由、会社への影響度、本人の反省状況など総合的に判断されます。
初回の無断欠勤でいきなり重い処分となることは稀ですが、再三の無断欠勤や長期間の無断欠勤では厳格な処分もやむを得ません。

無断欠勤による解雇の有効性と判断基準

無断欠勤を理由に解雇(懲戒解雇含む)とする場合、労働契約法第16条の「客観的合理的理由」と「社会通念上の相当性」が必要です。

解雇が有効とされやすい例

  • ・無断欠勤の期間が長期にわたる(一般的に2週間以上など)
  • ・会社からの連絡を無視し続けている
  • ・過去にも同様の行為が繰り返されている
  • ・業務に重大な支障が生じた
  • ・改善指導に従わない

解雇が無効とされやすい例

  • ・無断欠勤の期間が短い(数日程度)
  • ・やむを得ない事情がある
  • ・初回の無断欠勤
  • ・本人に改善意思がある
  • ・会社側の配慮が不十分

【失敗例】

「無断欠勤1日で即日懲戒解雇」とした場合、適正な手続きや弁明の機会がなければ、後日無効となるケースがあります。
段階的な指導と記録の徹底が重要です。

無断欠勤時の給与や賞与の取り扱い

給与

無断欠勤日の給与は「ノーワーク・ノーペイの原則」により支払う義務はありません。
月給制の場合、「月給÷その月の所定労働日数×無断欠勤日数」で給与が控除されます。

  • ・有給休暇として処理する場合:通常通り支給
  • ・会社の就業規則で特別な定めがある場合はその規定を優先

賞与・昇給

無断欠勤が賞与や昇給に与える影響は、会社の人事評価制度や就業規則に基づき判断されます。
勤怠不良は評価減・減額・昇進見送り等の不利益につながることが一般的ですが、過度な処分は無効となる場合もあります。

会社がとるべき無断欠勤への対応手順

1.安否確認と状況把握(当日中)

  • ・本人への電話連絡
  • ・緊急連絡先への確認
  • ・安全配慮義務として事故・急病の可能性も考慮

2.業務への影響最小化

  • ・代替要員の確保
  • ・顧客対応や業務調整
  • ・チーム内で情報共有

3.記録の作成

  • ・欠勤の事実・対応経過・連絡記録などを残す

4.段階的な対応策

  • ・短期間(1~3日):面談、事情聴取、口頭注意等
  • ・中期間(4~10日):事情聴取、懲戒検討、改善計画
  • ・長期間(2週間以上):懲戒解雇検討、労基署・専門家相談

各段階での適正手続き・記録と、本人の弁明機会確保が重要です。

無断欠勤を防ぐための予防策

職場環境や労働条件の見直し・コミュニケーション強化がポイントです。

  • ・定期的な面談や相談しやすい雰囲気づくり
  • ・メンタルヘルス対策・相談窓口設置
  • ・有給休暇取得促進や適正な労働時間の確保
  • ・フレックスタイム、在宅勤務など柔軟な勤務制度
  • ・勤怠管理システム・アラート機能の活用
  • ・欠勤傾向の早期発見と管理職への研修

よくある質問(FAQ)

  • Q

    体調不良で連絡できずに無断欠勤してしまいました。後から有給休暇にできますか?

    A

    体調不良等で連絡できない場合も、早期に事情を説明すれば有給扱いとなる場合があります。まずは会社へ相談しましょう。

  • Q

    無断欠勤を理由に即日解雇されました。これは有効ですか?

    A

    原則として単発の無断欠勤による即日解雇は無効となる場合が多いです。労基署や専門家へ相談しましょう。

  • Q

    部下が無断欠勤を繰り返す場合、どう対応すべき?

    A

    本人との面談や原因の把握・環境整備の上、改善がなければ懲戒処分も検討します。必ず手続きと記録を。

  • Q

    無断欠勤時の給与はどう計算する?

    A

    「月給÷所定労働日数×欠勤日数」で控除。事後に有給休暇となる場合は支給。

  • Q

    無断欠勤が3日続いたら懲戒解雇されますか?

    A

    一概に3日で即解雇は違法の場合が多く、会社の就業規則や対応、本人事情等を総合判断します。適正な手続きが必要です。

  • Q

    懲戒解雇された場合、履歴書にはどう書けばよいですか?

    A

    原則は「一身上の都合」と記載しますが、個別事情によるため専門家へご相談ください。

まとめ:適切な労務管理と職場環境の改善

無断欠勤は、労働者・企業双方にとって大きなリスクとなり得ます。
適切な手順での初期対応・段階的な懲戒・法令遵守・職場環境整備が重要です。

  • ・無断欠勤の原因を根本から解決する努力
  • ・コミュニケーション重視の職場づくり
  • ・柔軟な労働制度と法令遵守

困った時は一人で抱え込まず、社会保険労務士や労働基準監督署など専門機関へ早めにご相談ください。

無断欠勤対応や就業規則整備、労務トラブルのご相談は社労士事務所までお気軽にどうぞ!

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