最終更新日2024.11.11(公開日:2024.11.11)
監修者:営業責任者 渥美
36協定は、労働基準法第36条に基づき、法定労働時間を超える時間外労働や休日労働を行わせる場合に、労使間で締結する協定です。
この協定は、従業員の労働条件を保護しつつ、企業の柔軟な労働時間管理を可能にする重要な取り決めです。
36協定の主な目的は以下の通りです。
以下のような状況で従業員に時間外・休日労働をさせる場合、36協定の締結と届出が必要となります。
経営側と従業員代表が協議を行い、時間外・休日労働の必要性や上限時間などを検討します。
従業員の過半数で組織する労働組合がある場合はその代表者、労働組合がない場合は従業員の過半数を代表する者を選出します。
選出方法は以下の点に注意が必要です。
労使間で合意した36協定の内容を協定書にまとめます。
協定書には以下の事項を記載する必要があります。
作成した協定書に、使用者と従業員代表が署名または記名押印します。
締結した協定書を、所轄の労働基準監督署長に届け出ます。届出の期限は、協定の開始日の前日までです。
以下のいずれかの方法で届出を行います。
事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長宛に届出を行います。
複数の事業場がある場合は、事業場ごとに届出が必要です。
2019年4月の労働基準法改正により、時間外労働の上限規制が導入されました。
主な内容は以下の通りです。
項目 | 上限時間 ----------------------|----------------------- 時間外労働の上限 | 月45時間、年360時間 特別条項の場合の上限 | 年720時間 単月の上限 | 100時間未満(休日労働含む) 複数月の平均上限 | 80時間(休日労働含む) 月45時間超の回数 | 年6回まで
ただし、建設業、自動車運転業務、医師等については、2024年3月まで上限規制の適用が猶予されています(医師は2024年4月から一部適用開始)。
特別条項付き36協定とは、通常の限度時間を超えて労働させる必要がある場合に締結する協定です。
以下の点に注意が必要です。
36協定の有効期間は、1年間とするのが一般的です。ただし、事業場の実情に応じて3年以内の期間で定めることも可能です。
有効期間が満了する前に、次の点に注意して更新手続きを行います。
36協定を締結していない場合、残業させることはできませんか?
原則として、36協定を締結・届出していない場合、法定労働時間を超える時間外労働や休日労働をさせることはできません。
ただし、災害その他避けることのできない事由による臨時の必要がある場合は、労働基準監督署長の許可を得て時間外・休日労働をさせることが可能です。
パートタイマーやアルバイトも36協定の対象となりますか?
はい、雇用形態に関わらず、すべての労働者が36協定の対象となります。
パートタイマーやアルバイトであっても、法定労働時間を超えて労働させる場合は36協定の締結と届出が必要です。
36協定の届出を忘れていた場合、どうすればよいですか?
届出を忘れていた場合は、速やかに届出を行う必要があります。
ただし、協定の効力は届出日からとなるため、それ以前の時間外労働は法違反となる可能性があります。
従業員から36協定の内容について説明を求められた場合、どう対応すべきですか?
36協定の内容は従業員に周知する義務があります。
協定書の写しを事業場の見やすい場所に掲示する、イントラネット(企業や組織内において、社員などの限られた範囲で利用できるネットワーク環境)で閲覧できるようにするなど、従業員が容易に確認できる環境を整えましょう。
また、従業員から個別に質問があった場合は、丁寧に説明することが大切です。
36協定に違反した場合、以下のようなリスクや罰則があります。
働き方改革関連法の施行により、36協協定も変化していきます。
最新の動向としては以下のようなものがあります。
36協定の締結と届出、そして運用は、従業員を過度な労働から守りつつ、企業の生産性を維持するために不可欠です。
労使双方が協定の意義を理解し、建設的な対話を重ねることで、より良い労働環境の実現につながります。
また、法改正や社会情勢の変化に応じて、柔軟に協定内容を見直していくことも重要です。
36協定は労使間で必要不可欠な法的手続きです。この協定を通じて、従業員の働き方や企業の業務プロセスを見直す機会とし、働きやすい労働環境の構築を目指しましょう。
業態に則した36協定の運用はとても大事です。
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