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従業員の退職時における知識について

最終更新日2024.10.7(公開日:2024.10.7)
監修者:営業責任者 渥美

退職のために持つをまとめる女性

従業員退職における基礎知識

退職には自己都合退職と会社都合退職の2つがあります。

自己都合退職と会社都合退職

①自己都合退職

自己都合は本人の希望で退職することです。
きっかけは様々あるでしょうが、例を挙げますと「転職」「留学」「起業」。その中で「転職」の場合は労働環境が合わない、人間関係の不和、などのケースが多く見受けられます。生活環境の変化によるものでは「家族の育児や介護」「結婚・出産」なども挙げられます。これらが自己都合退職となります。

②会社都合退職

会社都合とは、企業側の事情によって従業員が退職を余儀なくされることを指します。「企業の業績悪化による事業の縮小・閉鎖や、企業の経営方針の変更による人員削減」「倒産」などによる会社の都合での雇用契約終了のことを会社都合退職といいます。

自己都合で退職する場合は、本人から退職届を提出してもらいます。
会社都合で解雇する場合は、少なくとも30日前に解雇予告をするか、不足する日数分の解雇予告手当を支給する必要があります。
解雇以外の会社都合(事業の縮小による人員整理など)でも30日前までに本人に通知するようにします。

後々のトラブルを防止するために、書面での退職届の受け取りと退職日までに本人と会社の間で話し合いを行い、退職に関する合意書を締結する必要があります。

雇用期間中に従業員へ預けていた、社員証、鍵、携帯電話やその他備品、名刺、取引先の名刺、通勤定期券等々を回収漏れのないよう返却してもらう必要があります。

月の中途に退職の場合、給与は就業規則などに基づき、退職日までの日数に応じて基本給や、その他の手当を按分計算して支給します。
退職または解雇の場合、労働者名簿にはその年月日と理由、死亡した場合はその年月日と死亡原因を記載します。

また、従業員ファイルの最後に退職用のインデックスを作成し、その従業員に関する労働者名簿、労働条件通知書、その他の書類一式を移動します。

  • ・退職届は必ず書面でやり取りする
  • ・退職に関する合意書を締結する
  • ・労働者名簿への記入と退職者用のインデックスへ書類一式を移動

また、解雇予告が不要な者について以下に載せておきます。

  • ・試用期間中の者(14日間を超えて働くこととなった者を除く)
  • ・4カ月以内の季節労働者や契約期間が2カ月以内の者(その契約期間を超えて働くこととなった者を除く)
  • ・日雇い労働者(1か月を超えて働くこととなった者を除く)

従業員の退職については、後の憂いとならないように、万全の備えをしておきましょう。

会社都合退職になる3つのケース

従業員が退職する際に、会社側が自己都合退職としたいが、実際には会社都合退職となるケースはいくつかあります。

  • 1 ハラスメントや労働環境の問題
    職場内でのパワーハラスメントやセクハラがある場合、従業員が退職を余儀なくされることがあります。このような場合は、会社側が問題を適切に処理していなかったとして、会社都合の退職と見なされることがあります。
  • 2 業務負荷の過重
    労働条件が著しく悪化した場合や、過重労働が続いた場合、従業員は健康を害する可能性があります。このような状況で退職を選ぶ場合、会社側の責任が問われ、会社都合として扱われることがあります。
  • 3 雇用契約の不履行
    例えば、契約内容と異なる働かされ方をされている場合(給与未払いなど)、従業員が退職する理由として、会社側の不誠実な行為が影響し、会社都合と見なされることがあります。

これらのケースでは、会社側の対応や労働環境が従業員の自主的な退職を不合理に引き起こしているため、法律的に会社都合として扱われることがあります。

会社都合での退職が多い場合、従業員や求職者の間で会社の評判が悪化し、優秀な人材が集まりにくくなることがあります。また労働法に違反しての会社都合退職の場合、従業員からの訴訟リスクが高まる可能性があります。違反内容に対して相応の対応を踏まないと損害賠償責任が生じることがあります。

従業員退職に必要な社会保険と雇用保険の喪失手続きについて

社会保険の喪失手続きは退職日から5日以内に行います。退職日またはそれ以降に健康保険被保険者証(被扶養者分も)を本人から回収します。
退職者の『健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届』を作成し、回収した健康保険被保険者証を添付して退職日から5日以内に年金事務所へ提出します。

本人が健康保険被保険者証を紛失している場合には『健康保険被保険者証回収不能(滅失)届』を代わりに提出します。雇用保険の喪失手続きは退職日から10日以内に行います。

『雇用保険被保険者資格喪失届』を作成します。また、在職中に本人への離職票の要否を確認し、不要な申出がない限り『雇用保険被保険者離職証明書』を準備し従業員に必要事項の記入と押印をもらいます。(本人が59歳以上の場合は不要の申出があっても必ず準備する)

添付書類として、資格喪失届には退職届のコピーなどの資格喪失の事実や資格喪失日及び資格喪失の状況が確認できる書類、離職証明書には賃金台帳や労働者名簿、出勤簿などの「離職の日以前の賃金支払状況等」欄が確認できる資料と、退職届のコピーなどの「離職理由」欄が確認できる資料を添付します。

退職日から10日以内に

  • 『雇用保険被保険者資格喪失届』
  • 『雇用保険被保険者離職証明証』

をハローワークに提出すると、原則として当日に

  • 【資格喪失確認通知書】
  • 【雇用保険被保険者離職証明書(事業主控)】
  • 【離職票―1・離職票―2・離職された皆様へ(パンフレット)】

上記が交付されます。

この3点セットは退職者が失業給付を受けるために必要なため本人へすぐに郵送します。

退職月の給与からの社会保険料などを控除するときの注意

資格喪失日は退職日の翌月となり、月末退職者については翌月1日が資格喪失日となります。月末に退職した場合、退職月分の社会保険料も控除する必要があり、退職月の給与から前月分と合わせて2か月分の社会保険料を徴収します。
月末の退職以外は前月分の1か月で問題ありません。控除する雇用保険料の計算は通常と同じです。

退職する従業員の雇用保険がずっと未加入だった場合のQ&A

  • Q

    ある従業員の退職時に離職票を発行しようとしたところ、会社のミスで10年以上前の入社時から雇用保険に未加入となっていたことが判明しました。遡って加入することはできるのでしょうか?

    A

    遡って加入する事は可能ですが、本来は遡れるのは2年前までです。

    ただ例外として、給与明細などによりずっと雇用保険料を天引きしていた事実が証明できる場合は、その事実が確認できる日までは2年よりも前であっても加入する事が出来ます。

    まずは加入の条件を満たしているか確認です。雇用保険に加入するにはいくつか条件がありますが、そのうちの一つが「週の決められた労働時間が20時間以上」それより少ない、例えば1日6時間で週3日勤務の場合だと加入はできません。
    途中から勤務体系が変わっている場合は、それがいつなのか確認しておきましょう。週20時間以上となったその時点から加入できます。

    雇用保険に加入するメリットとして一番知られているのが、会社を退職後に申請できるのが質問にある「失業給付」です。
    加入年数により失業給付をもらえる日数が変わってきます。また、年齢によっても給付の日数が違ってきます。

まとめ

従業員にとっては、退職後の生活設計に直結する問題であり、企業にとっては法令遵守と円滑な労使関係維持、何より労務トラブル防止のため、日々ぬかりなく労務環境の状況の把握及び整備を行っていかないといけません。
不安が残る場合は社労士に相談しましょう。

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