最終更新日2023.2.28(公開日:2023.2.28)
監修者:営業責任者 渥美
社労士に依頼できることは「社会保険や労働保険の手続き代行」これらは「1号業務」「2号業務」「3号業務」と呼ばれるものです。
そのうち社労士の独占業務なのが「1号業務」「2号業務」です。
士業にはそれぞれ「独占業務」といい、その士業以外がその業務を行い、報酬を得ることは違法となり1年以下の懲役、または100万円いかの罰金を言い渡されることがあります。
それでは社労士に依頼できることはどういったことなのか説明していきます。
社労士に依頼できることは人事・労務の業務全般です。
その内容は多岐に渡ります。
例えば、労働法関連の相談では労働基準法や労働契約に関する問題、労働時間や休暇制度、給与体系、労働条件などについてのアドバイスを求めることができます。
次に、社会保険の加入・退職手続き、厚生年金や国民年金の手続き、各種保険給付の手続き方法などについてのサポートも社労士に依頼できます。
また、労働災害の申請手続きや労働トラブルの解決策、労働組合との交渉など、労働環境に関する問題についてアドバイスを受けることも可能です。
さらに、雇用契約書の作成や解約手続き、人事評価や昇進制度の設計、労働者の教育研修計画の策定など、雇用関係における手続きや制度設計についての支援を受けることもできます。
これらは社労士の1号業務、2号業務、3号業務としてジャンル分けされています。
それでは各業務の内容について説明していきます。
「1号業務」は行政機関に提出する書類の「作成」「提出代行」、「事務代理」、「紛争解決手続き代理業務」があります。
この内、「紛争解決手続き代理業務」は特定社労士のみが行えます。
特定社労士はADR(裁判外紛争解決手続き)のうち紛争解決手続きにおいて、当事者の一方を代理することができます。
1号業務は多岐に渡ります。
簡単に説明すると「社会保険」や「労働保険」の手続き代行などです。
新しい企業、事業所などの「社会保険」「労働保険」の新規適用、新規成立。
従業員の入社、退社などの保険の取得、喪失の手続き。
社会保険の定時決定(算定基礎届)、労働保険の年度更新。
就業規則の届出代行など様々な手続きを代行できます。
まず、社会保険を狭義で説明すると「厚生年金」「健康保険」「介護保険」を社会保険、「雇用保険」「労災保険」を労働保険と呼んでいます。
これらそれぞれが「年金事務所」「全国健康保険協会」「ハローワーク」「労働基準監督署」であるなど管轄する役所は異なります。
よって企業、事業所で「社会保険」の新規適用、「労働保険」の成立を行う際、届け出先が異なります。
これは社労士に依頼しなくても、自身で管轄の役所に赴けば届け出することはできます。ただ、時間と手間がかかります。
従業員の入社が決まるとまず、「労働条件通知書の明示」「雇用契約書の締結」が必要となります。
採用日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」など、年金事務所に提出しないといけないものがあります。
採用の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークへ提出しないといけません。
従業員に、業務上の事由または通勤による負傷・疾病・障害・障害・死亡等の災害が起こった際、労災の保険給付の手続きをする必要があります。
災害の種類には「業務上災害」「複数業務要因災害」「通勤災害」があり、正社員だけでなく、パート、アルバイトや日雇い労働者などにも適用されます。
従業員被保険者が業務外の事由による療養のため労務に服することができなくなった場合に申請するのが傷病手当金です。
どういった時に受けられるのか例をあげると「がん」や「新型コロナウイルス感染」などで働けない状況にある時などがあげられます。
国民健康保険でも傷病手当金の制度はありますが、違いについて以下で述べます。
以上の様に社労士に依頼できる業務はたくさんあります。産休や育休なども含まれ、従業員の生活に密接で重要な業務が少なくありません。
特定社労士が行うことができるのがADR代理業務です。
ADR代理業務とは、紛争解決の手段であるADR(裁判外紛争解決手続)において、当事者の代理人として紛争解決のプロセスに参加し、当事者の主張や証拠を提示して和解や調停を図る業務です。
ADR代理業務では、代理人は以下のような業務を行います。
これらは2007年に新しく導入された制度で、裁判外でトラブルを解決するために社労士に新しく権利が付与されたものです(裁判に発展した場合は弁護士の領域になります)。
解雇や不当な労働や賃金の未払いなどの雇用周りのトラブル、昨今多様化しているハラスメントのトラブルなどの解決に助力してくれます。
「2号業務」は「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」といった「法定三帳簿」をはじめとする帳簿書類の代行です。企業のルールブックである就業規則の作成代行もこれにあたります。
法定三帳簿は労働基準法によって労働者を雇用した場合、作成する義務、定められた期間保管する義務があります。
これら法定三帳簿の義務を違反すると30万以下の罰金が科せられることがあります。
それでは、法定三帳簿の各帳簿について解説していきます。
次に法定三帳簿である「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」についてそれぞれ解説していきます。
労働者名簿に関して、労働基準法第107条において以下の様に定められています。
「使用者は、事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。」文字通りの労働者の名簿です。
賃金台帳は従業員への賃金の支払い状況を記すものです。
労働基準法第108条に「使用者は、事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。」とあります。賃金台帳と給与明細は違うものです。
労働者氏名、性別、賃金の計算期間、労働日数、労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数、休日労働時間数、基本給や手当等の種類と額、控除項目と額など法で定められた項目を記載しなくてはいけません。
また第109条にはその保存について「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。」とあります。
出勤簿は従業員の勤務状況を記すものです。
休憩や外出、有給や休日、早出や残業、遅刻や欠勤などの詳細を記録するものです。不備があるとトラブルに直結しやすいので、ずさんな管理ができないのは他も同じですが、特にしっかり記録しておくことが必要なもののひとつです。
上記のような法定三帳簿である「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の作成代行を社労士に依頼することができます。
法定三帳簿の作成・保管は労働基準法により定められた義務ですので不安がある企業や、助成金のため、従業員が増えたため作成しなくてはいけないなど就業規則の作成代行においても社労士に代行依頼することをオススメします。
「3号業務」は労務管理や社会保険、労働保険周りの相談やアドバイスを行うことです。
コンサルティング的側面が強くあり、労務周りのスペシャリストである社労士にうってつけの業務ではありますが、こちらは独占業務というわけではありません。コンサルティング企業などが行うこともできます。
ここまで社労士に依頼できる各業務を説明してきました。
まとめると、社労士には「1号業務」「2号業務」「3号業務」を依頼することができ、そのうち「1号業務」「2号業務」が社労士の独占業務です。
「1号業務」は行政機関に提出する書類の「作成」「提出代行」、「事務代理」、「紛争解決手続き代理業務」があり、労務上とても重要な業務が多いです。
「2号業務」は「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」といった「法定三帳簿」をはじめとする帳簿書類の代行で、法で定められた不可欠な帳簿の作成や管理代行を依頼できます。
「3号業務」は労務管理や社会保険、労働保険周りの相談やアドバイスを行うことで、こちらは社労士の独占業務ではありません。
弊所サービスに関するご質問やお見積もりのご依頼は
下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。