最終更新日2025.4.14(公開日:2025.4.14)
監修者:営業責任者 渥美
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、企業や従業員にとって重要かつ深刻な問題であり、この現象は近年特に注目されています。取引先とのコミュニケーションがスムーズでないと、従業員が精神的なストレスを受けたり、生産性が低下したりする可能性があります。
以下では、カスタマーハラスメントがどのような行為に該当するのか、そしてそうした状況を防ぐために企業がどのように社内を整備していくべきなのかを詳しく解説します。
カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先が企業やその従業員に対して行う不適切な行為や要求を指します。具体的には、暴言・威圧的な態度・過剰な要求などが該当します。この現象は、従業員の精神的な健康や職場環境に悪影響を及ぼすため、企業側での対策が必要です。
取引先から業務の範囲を超えたサービスや商品の提供を要求されることがあります。
例えば、通常は別途料金が発生するサービスを、無条件で提供することを求められる場合や、納期を無視して極端に短く設定されることなどです。
顧客や取引先が高圧的な言動を用いて、従業員に対して威圧的な態度を取ることは明らかに問題です。たとえば、感情的に逆上し、従業員に対して侮辱的な言葉を使うことが含まれます。このような無礼で威圧的な態度は、従業員のモチベーションを著しく低下させ、鬱を引き起こしたり、PTSDになる可能性もないとは言い切れず、従業員の離職に繋がるケースもあります。
同じ問題に関して何度もクレームを繰り返し、解決を求める行為もカスタマーハラスメントに該当します。
理不尽な要求や不当なクレームは、従業員にとって大きなストレスとなりえます。
取引先が従業員の個人情報(例えば、電話番号や住所)を不適切に要求し、それに応じるよう圧力をかける場合も問題です。
これは、従業員のプライベートな空間を侵害する行為となります。
職務上の権限を超えて、相手に対して指示を行うことや、独善的な要求を突きつけることもカスタマーハラスメントに分類されます。
また、従業員に対して根拠なく評価を下すような行為も含まれます。
カスタマーハラスメントを防ぐためには、企業全体でしっかりとした体制を整えることが必要です。以下では、具体的な施策について考えてみましょう。
まずは、カスタマーハラスメントに関する明確なポリシーを策定することが重要です。このポリシーには、カスタマーハラスメントの定義、具体的な行為の例、及び企業としての対応策を明記し、全従業員に周知徹底する必要があります。
従業員がカスタマーハラスメントを理解し、適切に対処できるよう、定期的に研修を受ける機会を設けます。
研修内容には、以下が含まれると良いでしょう:
■カスタマーハラスメントの具体的な行為
■カスタマーハラスメントに対する適切な対応方法
■カスタマーハラスメントに対する相談先や報告ルート
■これによって従業員は、具体的な行動を認識し、悩んだ際にどのように行動すべきかを学ぶことができます。
カスタマーハラスメントを防ぐ一手として、電話の録音があげられます。
ただし、電話応対の品質向上のため通話を録音する場合は、顧客にその旨を伝える必要があります。
録音したデータは、顧客との具体的な会話のやりとりを記録するツールとして活用することで、品質向上やトラブル対策、人材育成などに役立てることができます。
・顧客との具体的な会話のやりとりを記録するツールとして活用する
・問題解析やマニュアル、コンプライアンス強化のためのガイドラインなどの作成に役立てる
・オペレーターの対応品質・コンプライアンス強化のための教育を行う
・人材育成の促進・人事評価に役立てる
・トラブル時の証拠として活用する
・個人情報保護法の観点から、利用目的を明示してコンプライアンスを強化する
・録音したデータは適切に保管し、データの漏えいや不正利用を防ぐために、高度なセキュリティの確保が求められる
・通話の録音が個人情報を含む場合には、その旨を顧客に通知する
・録音することを事前にホームページなどで公表する
・通話の冒頭で顧客に「この通話は録音されます」と告知する
カスタマーハラスメントを受けた場合、従業員が迅速に報告できる体制を整えます。たとえば、匿名での報告が可能な窓口を設けたり、電話やメールで気軽に相談できる環境を作ることが重要です。また、報告された内容については、必ずフォローアップを行い、必要に応じた対応策を講じます。
従業員からのフィードバックを定期的に受け入れ、カスハラ対策の改善に活かしましょう。
カスハラの発生状況を定期的にモニタリングし、「なぜ起きるのか」「どうしたらカスハラを防ぐことができそうか」必要に応じて対策の見直しを行います。
メンタルヘルスをサポートするための体制も必要です。心理的な問題を抱える従業員のためにカウンセリングサービスを提供したり、ストレス管理の研修を実施することで、精神的な疲弊を軽減できます。
カスタマーハラスメントを繰り返す顧客に対しては、取引の継続を見直す基準を設けることが重要です。たとえば、一定回数以上のハラスメント事例がある場合は、取引を一時停止する、または永続的に断る方針を明確にしておくことが必要です。
実際にカスタマーハラスメント対策を実施している企業の事例を見てみましょう。
ある製造業の企業では、顧客からのクレームに対する対応基準を明確化しました。特に、暴言や偽情報に基づくクレームに関しては、従業員を守るための特別なガイドラインを設けました。具体的には、悪質なクレームには担当者が直接対応しないことをルールとして設定しました。
あるサービス業の企業では、従業員がカスタマーハラスメントを受けた際にすぐに報告できる「ハラスメント報告窓口」を設けています。
この窓口での相談内容は、個別にフォローアップされ、必要に応じて専門家のカウンセリングが受けられるようになっています。
カスタマーハラスメントは、現代のビジネス環境においてますます重要な課題となっています。企業は従業員を守るためにしっかりとした社内整備を行うべきです。上記の対策や実施例を参考に、貴社でもカスタマーハラスメントへの対策を強化し、従業員が安心して働ける環境を築いていきましょう。
何事も様々な状況を想定した備えが必要です。
これらの取り組みを通じて、顧客との良好な関係を維持しつつ、従業員が精神的に健全な状態で働ける職場作りを心がけましょう。
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