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ジョブ型雇用

ジョブ型雇用と転職
~ジョブ型雇用とは? 転職との関係について~

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 まだまだ収束の見えない新型コロナウイルス感染症。その副産物といっていいのがテレワークの拡大だったのではないでしょうか。もちろん成り行きで始めた企業や明確な制度が確立していない場合には、テレワーク規程を作成し、それに則った形で行うようにすることが大切です。原則会社に出勤する、という前提が無くなってきている昨今、電通等の本社売却もニュースとなりましたが、今後もテレワークの拡大や都心の本社移転は加速しそうです。
また今年の4月より中小企業にも「同一労働同一賃金」の適用が始まります。働き方改革は、アフターコロナを見据えた企業にどのような影響をもたらすのでしょうか。
そんな中、注目を集めているのが『ジョブ型雇用』です。先日も日立製作所がジョブ型の人事制度運用を開始すると発表しています。
今月はそんな『ジョブ型雇用』と転職との関係について特集します。


◆ ジョブ型雇用とは・・・?

ジョブ型雇用アイコン

 ジョブ型雇用、最近注目されているワードですが、ひと言で言うと、「仕事に人をつける」ことになります。
 対して、今の日本の会社の雇用は「人に仕事をつける」もので、メンバーシップ型雇用と呼ばれます。よく誤解があるのですが、ジョブ型雇用は決して成果主義という訳ではありません。以下、それぞれの特徴をみてみましょう。

☆ジョブ型雇用

  • 仕事に人をつける → 新卒採用にこだわらない。
  • 職務に対して人を採用する。
  • 職務グレードにより賃金決定が基本。
  • 解雇については諸国で違い、自由度が高い場合もあるが、ジョブ型雇用であっても日本より制限が厳しい国もある。
  • キャリアアップは、上位職務への異動・変更が基本。
  • 教育は個人でスキルアップすることが多いが、会社がスキル定着を図るために教育を行う場合もある。→ スキル不足と判断された場合は解雇が多い。
  • アメリカやイギリス、オーストラリア等では一部を除き、定年制度はなし。

☆メンバーシップ型雇用

  • 人に仕事をつける → 採用は新卒採用がメイン、中途採用もあるが採用のメインではない。
  • 職務はあまり明確化されておらず、ジョブローテーションも多い。
  • インセンティブ等もあるが年功序列の賃金決定が多い。勤続年数や役職により昇給する。
  • 解雇については制限がある。合理的、客観的な理由がなく社会通念上相当であると認められない場合は無効。
  • キャリアアップは新卒採用後の研修や社内でのジョブローテーションなどを経て管理職登用となるパターンが多い。
  • 教育は会社でのOJTが基本。新卒から育成するため、徐々にスキルアップし、出来る業務を増やしていく。個人的に勉強等スキルアップすることも可能だが、直接的に会社の業務に結びつき急激に昇給することは多くはない → スキル不足と判断された場合でも解雇は稀、定年まで勤めることも可能。

◆ ジョブ型雇用と転職との関係・・・?!

ジョブ型雇用と転職の関係?

 ジョブ型雇用の導入が高まれば、必然的に転職市場が活発化されます。労基法で解雇については厳格な制限があるため、すぐにスキル不足だからと解雇となることは考えにくいですが、やってもらう仕事がない、いつまでも仕事内容も賃金も変わらない、ということは起こってきます。また逆にキャリアアップのための転職も増えていくはずです。

ジョブ型雇用の特徴として「新卒一律採用」はほとんどしないため、中途採用がメインとなっていくことも転職が活発となる要因です。そうなると、新卒者は社会人となる時点である程度のスキルを持っておくことが必要となりますが、高いスキルを持っていれば、現在のように新卒者=一律の賃金ではなく、高い賃金を最初から得られる可能性も出てきます。つまり、優秀な若手社員の獲得がしやすくなり、スキルが低い中高年の社員へ多くの賃金を払う必要がなくなるのです。


◆ メンバーシップ型雇用はダメのか・・・?!

 現在の日本の雇用の主流であるメンバーシップ型雇用ですが、これがダメと完全に否定するということではありません。ジョブ型雇用はメリットもありますが、デメリットもあります。同じようにメンバーシップ型雇用にもメリットがあります。
終身雇用とも言われてきたこの雇用制度は、長い時間をかけて様々な経験とスキルアップの機会を会社が与えます。また、住宅手当や家族手当といった「生活サポート」的な手当を支給してきたことも特徴のひとつです。社員の生活や人生を丸ごと引き受けるような雇用でもあるのです。

 これは、高度経済成長期が背景にあり、この時期の労使交渉はしっかり長く働くことができる環境を獲得することが最優先であり、会社としても最初は戦力とならずとも、長期的な労働力を確保できることなど、メンバーシップ型雇用の仕組みがマッチした結果でした。一方、ジョブ型雇用は職務グレードによる賃金のため、生活サポート的な賃金は基本ありませんし、何年その職務をしたとしても、より上位の職務担当へのポジションが変わらない限り昇給もありません。このため、どちらが優れている制度、劣っている制度ということではないのです。


◆ なぜ今ジョブ型雇用なの・・・??

 では、なぜ今ジョブ型雇用が注目されているのでしょうか。
それについては、

  • コロナ禍のテレワークにより、以前のような会社に出勤して仕事をしながら、他の人の仕事のフォローをしたり、ちょっとしたOJTが気軽に出来なくなった
  • 経済の停滞と労働人口の減少

などが挙げられています。

ジョブ型雇用と転職関係

 昨年、経団連は、日本型雇用の見直しを提言し、トヨタ会長の豊田氏も「終身雇用を守っていくのは難しい」との発言をしています。つまり、時代としてメンバーシップ型雇用は合わなくなってきており、そのためジョブ型雇用が注目されているのです。

 今後、ますます少子高齢化となり、今年の4月からは改正高年齢雇用安定法が施行となり、70歳までの就労確保が努力義務となります。年金制度も改正となり、来年4月より在職老齢年金の見直しや、年金の繰り下げも75歳まで拡大されます。政府としては少子化での労働人口減少を高齢者でカバーしていく狙いがあります。
 ところがやはり加齢によりパフォーマンスは落ちていくことが考えられ、かといって、同一労働同一賃金制度により、引き続き同じ仕事を任せるような場合、極端な賃金カットはしにくくなります。また少ないポジションにいつまでも中高年が居座り続けると、若手のポジションがなくなり、賃金は低く抑えられ人材流失に繋がり、仕事が分かる人がいないため、いつまでも残り続ける...といった負のループもあり得ます。
もちろんこれは単なる一例のため、全ての会社に起こり得ることではありませんが、今後のリスクとして認識はしておくことが大切です。 

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