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新型コロナウイルスワクチン接種に関する取扱い

covid19.jpg新型コロナウイルスワクチン接種に関する取扱い
~ 休暇や労働時間、特別有給制度 ~


 新型コロナウイルスのワクチン接種が、医療関係者以外でも65歳以上の高齢者から始まりました。今後一般向けの接種開始を前に、ワクチン接種時の労務上の取扱いについて確認しておきましょう。


◆ ワクチン接種で注意したいこと ◆

 新型コロナウイルスの感染拡大は収束の気配を見せず、緊急事態宣言は未だ継続中です。ワクチン接種は医療関係者から始まり、高齢者への接種も開始されました。どんなワクチンでも起こり得ることですが、接種後に一定の割合で「副反応」というものが起こります。この副反応でもっとも重症化する場合がアナフィラキシーとなります。
厚生労働省の発表によると、5月16日までにアナフィラキシーと判断された人は計146人、接種10万回あたり発生頻度は2.4件。なお、5月21日までに約866万回接種され、死亡例は計85人となっています。


主な副反応としては、itamihare.jpg

○ 接種部位反応
 ・発赤 ・腫張 ・硬結 ・疼痛 ・熱感 ・かゆみ

○ 全身反応
 ・頭痛 ・全身倦怠感 ・鼻水 ・発熱

 ※厚生労働省 新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査より


となっています。これまでの状況調査から、1回目の接種より2回目の接種後の方が、副反応が強くみられ、また、高齢者より若年層の方が、男性より女性の方が、副反応が現れる傾向が多くみられるようです。


☆ 予防接種後の注意点

 予防接種後には以下の注意点があります。hatunetsu.jpg

  1. 予防接種後30分間は安静にして様子をみましょう。
    (急な副反応はこの間に起こることがあります)
  2. 生ワクチンでは3週間、不活化ワクチンでは24時間は副反応の出現に注意しましょう。
  3. 接種当日は激しい運動は控えましょう。
  4. 入浴は差し支えないですが、注射した部位をこすらないようにしましょう。

  ※一般社団法人 日本ワクチン産業協会HPより


 これらを考えると、予防接種時、接種後についてある程度、安静が必要であることが分かります。また、今回の新型コロナワクチンは、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンという新しい仕組みのワクチンのため、副反応について十分な予想ができないということも一部で指摘があります。


◆ 新型コロナワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱い ◆

 厚生労働省が「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」を更新し、ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱いや、ワクチン接種を受けたことで健康被害を生じた場合の労災保険適用についての考え方を示しています。(以下、抜粋)


☆ ワクチン接種時に関する休暇や労働時間について

 職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
 また、

  1.  ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などに活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと

  2.  特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めること

    などは、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられます。こうした対応に当たっては、新型コロナワクチンの接種を希望する労働者にとって活用しやすいものになるよう、労働者の希望や意向も踏まえて御検討いただくことが重要です。

 接種後の安静や、倦怠感や高熱の副反応を考えると、接種時やその後になんらかの休息時間は必要となるでしょう。本来、任意の予防接種ですので、会社が特別に休暇制度や中抜けといった環境整備を行う必要はないのですが、未曾有のパンデミックの中、ワクチン接種が収束への希望となっていることからしても、特別な休暇制度等を作成することは、労働者の安心に繋がります。もちろん、有給休暇を使用してもらっての接種でも、問題ありません。ただ、あくまで労働者本人の希望による有給休暇使用が前提です。


☆ ワクチン接種を受けたことによる健康被害は労災対象か?

 ワクチン接種については、通常、労働者の自由意志に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められず、これを受けることによって健康被害が生じたとしても、労災保険給付対象とはなりません。
 一方、医療従事者等に係るワクチン接種については、業務の特性として、新型コロナウイルスへのばく露の機会が極めて多く、医療従事者等の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であることから、今般のワクチン接種において接種順位の上位に位置付けられています。
 したがって、医療従事者等に係るワクチン接種は、労働者の自由意志に基づくものではあるものの、医療機関等の事業主の事業目的の達成に資するものであり、労災保険における取扱いとしては、労働者の業務遂行のために必要な行為として、業務遂行に該当するものと認められることから、労災保険給付の対象となります。
 なお、高年齢者施設等の従事者に係るワクチン接種についても、同様の取扱いとなります。

 

☆ 医療従事者や高年齢者施設等の従事者とは?

 医療従事者等については、病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある医師その他の職員等を想定しています。

 高齢者施設等の従事者については、介護保険施設等、高齢者及び基礎疾患を有する者が集団で居住する施設で従事する者等を想定しています。

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 今回の新型コロナワクチン接種については、医療従事者等に限り、労災保険給付対象となります。ただし、これらのことを以て、新型コロナワクチン接種を強制することはできません。あくまで労働者の自由意志に基づく接種であり、業務に従事する条件にもならないため、注意が必要です。

◆ 特別休暇導入について ◆

 新型コロナワクチン接種時の特別休暇制度は、先日、公務員で「ワクチン休暇」が取れるようになったことが河野大臣より発表となり、また、三菱電機株式会社も、全従業員向けに「接種1回につき、1日」の特別(有給)休暇制度導入を発表しています。
 特別な休暇制度を導入する場合は、労使の話し合いにより制度を設けることが可能です。その際は、就業規則に定める等、労働者へしっかり周知しておきましょう。もちろん、必ずしも有給での休暇とする必要はありませんが、労働者が安心して休めるような制度設計が望まれます。

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