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テレワークにおける通勤手当と在宅手当 ~課税・非課税の見分け方~

テレワークにおける通勤手当と在宅手当 ~課税・非課税の見分け方~

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 新型コロナウイルス感染がまた増加しており、3度目の緊急事態宣言も出された昨今。引き続きテレワークが推奨されています。

 今月号では、そんなテレワークでの通勤手当や在宅手当支給時の注意点などを再確認してみたいと思います。



◆ 通勤手当 ≠ 在宅手当 ◆

 テレワークが増加したことにより、今まで当たり前のように支給されていた通勤手当を見直す企業が多くなっています。定期代の支給をやめ、出勤日数に応じた通勤手当としたり、通勤手当自体を取りやめたり(一旦停止)、代わりに在宅手当を支給するような企業もあります。
 しかし、通勤手当と在宅手当は違うものです。「代わりに」支給といっても、給与計算上は異なるものとなるので注意が必要です。

☆ 通勤手当とは・・・deskwork.jpg

 実は労基法上、通勤手当については定義がされておらず、支給するかしないか、どのように支給するか(何ヶ月分の定期代なのか? 毎月支給なのか? ○ヶ月にまとめて支給なのか?など)も各企業で取り決めができる部分なのです。このため、通勤手当の支給をしない企業もあります。通勤手当を支給する場合は、就業規則や雇用契約にその旨を記載します。
 基本的に、会社から労働者に支給される給与は「所得」となるため、所得税の対象です。なお、実費を精算する場合は所得とはなりません。通勤手当は所得税法上、非課税部分が存在します。


 非課税となる通勤手当は、通常の給与に加算して支給するもののうち、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額である。


 公共の交通機関または有料道路を利用している場合の非課税限度額は1ヶ月あたり15万円となっています(自転車やマイカー通勤の場合は上限額が異なります)。

 また、通勤手当については、社会保険料や雇用保険料の算定対象ですが、残業代などの割増賃金の計算基礎対象外となります。

ただし、注意したいのは通勤手当という名称であっても、全員一律同額支給の場合は、所得税非課税や残業代割増賃金の計算基礎対象外ではなくなり、課税・割増賃金計算基礎対象となります。これは、様々な所に住んでいるのに一律支給すると所得税法の「通勤のための合理的な通勤のための金額」ではないとされ、労基法でも在宅手当と同じ給与の手当とみなされるためです。


☆ 在宅手当とは・・・zaitaku.jpg

 テレワークを行うことで、自分の自宅の環境を整えるため、また業務を行う中での水道光熱費や通信費の負担を軽減する目的で支給することが多いようです。目的や支給額は企業ごとに違い、こちらも労基法上の定義はなく、支給するしないも企業で決定できます。通勤手当と同じく、支給する場合は就業規則等に記載は必要となります。
 在宅手当については、所得税、社会保険料、雇用保険料、残業代の割増賃金計算基礎対象となります。このため、例えば各個人の1ヶ月分の通勤手当と同額を在宅手当に置き換えて支給した場合、その分所得税がかかるので、控除後の金額(手取り)は低くなりますし、残業単価は高くなります。

 なお、原則は上記のように課税対象ですが、在宅手当としていても「通信費」「電気料金」「レンタルオフィス」などの実費相当額を精算支給する場合は非課税とする見解が、今年の1月に国税庁より発表されました。具体的な算式は以下の通りです。

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 ポイントは「実費精算である」「国税庁または企業独自の精緻な方法で業務のために使用した基本使用料や通信料の金額を算出している」かどうか、となります。

◆ 出社 → テレワークとなった場合は・・・?! ◆

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もともと出社し、通勤手当が支払われていた場合で、コロナ禍の状況を鑑み、テレワークへ切り替えをしてもそのまま全額通勤手当を支払っているというケースについては、実際に出社が0日であってもそのまま限度額までは非課税となります。その理由としては、

 ・本来の勤務地が会社であること(一時的なテレワーク実施)
 ・テレワーク中でも、必ずしも出社しないとは限らないこと

 これらの理由から、一定の合理性をもって支給している通勤手当として捉えられているためです。


☆ テレワークが原則の雇用契約では・・・

 このため、もともとテレワークでの雇用契約だった場合の通勤手当については、課税対象となると考えられるので注意が必要です。これは、勤務地が自宅であり、出社が原則想定されていないため、所得税法上の通勤手当に該当しないためです。

◆ 就業規則への記載は・・・ ◆


通勤手当を出社分のみの清算とする、または出社が0日だった場合に支払わない場合には、就業規則へその旨を記載しておくと良いでしょう。


【 記 載 例 】


欠勤、テレワークその他の事由により、当該給与計算期間の全日数にわたって出勤、出社しない場合は、当該月の通勤手当は支給しません。また、当該給与計算期間中欠勤、テレワーク等がある場合は、通勤手当は一部支給とすることがあります。



欠勤、テレワークその他の事由により、当該計算期間中出勤、出社しない勤務が〇日以上ある場合は、実際に通勤のために生じた実費を支給します。



 現在も新型コロナウイルス感染が拡大し、変異株感染も急増しており、1都2府1県で再びの緊急事態宣言となってしまいました。今後もワクチンが普及するまでは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令と解除の繰り返しが予想されます。それ以外の地域でもやはり感染はまだ拡大傾向となっていますので、テレワークができる場合は、なるべくテレワークへの切り替えをしていくことが求められています。今後を見据えた対応をしていくことが、会社や従業員を守ることにも繋がります。

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