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コロナ禍と石田梅岩(ばいがん)

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コロナ禍と石田梅岩(ばいがん)

 新型コロナウイルス関係の一連の騒動は、労働の意義や意味について改めて考えさせられるきっかけになったように思われます。不要不急の外出を控えるように求められ、リモートワークが奨励され、夜間の飲食店の営業や文化イベントなども回避される。これを機に自身の日頃の仕事の「必要性」について考え直した人も多いかもしれません。
 江戸時代、バブル景気に沸いた元禄時代の後に、武士道ならぬ「商人道」を唱えた石国梅岩(1685~1744年)という学者・思想家は、「勤勉、倹約、正直」といった言葉で、商人のあるべき姿を説きました。梅岩は、勤労は人に心の安らぎをもたらすものであり、人間は働くことで喜びを見出す生き物である、といった意味のことを述べています。
 現代のCSRに連なる思想も先取りしていた梅岩のこの労働観は、労働を苦役と考えたり、あるいは利潤を得るための手段に過ぎないとする発想とは対照的です。肉体的につらくても、それを補って余りある精神的な喜びが、もともと「労働」にはある。そう感じるのがそもそも人間の本質だということです。そろばん図
 労働の本質が精神的な安らぎにあると考えれば、好まざる休業を余儀なくされることは、精神面の充実感の喪失につながりかねないと言えます。これは、仮に休業補償や給付金などで経済的支援が得られたとしても、消えないものでしょう。一方で、この機に乗じて利潤のみを求めて物資を買い占め高値で転売する行為は、梅岩にとってみれば、「働く」こととは正反対の行いと言えるのではないでしょうか。

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