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今月の相談 退職時の年次有給休暇の一括請求

労務のお悩み相談室 Q&A

今月の相談 退職時の年次有給休暇の一括請求

【 質 問 】
 年度末を迎え、定年退職者を含めて退職する者がおりますが、退職日までに年次有給休暇の残日数を一括して請求されました。しかし、業務の引き継ぎもあり、まとめて休まれると業務に支障が出てしまいます。請求を拒むことはできるのでしょうか。


【 回 答 】
 ● 年次有給休暇の原則 ●
  労働基準法により、従業員の年次有給休暇は、勤続年数に応じて20日を上限に付与しなければなりません。またその請求権は付与日から2年を経過する日まで有効で、以降は時効により消滅します。つまり、勤続年数が長い従業員で年次有給休暇の取得日数が少ない場合、最多で前年度分20日、今年度分20日の合計40日の残日数を保有していることもあります。このような従業員が、就業規則に基づいて1ヵ月前に退職届を提出し、年次有給休暇の残日数を一括請求してきた場合、会社はそれを拒むことはできません。そのため、その従業員が退職日までまったく出社しないという事態が生じることがあります。
 労働基準法(第39条第5項)では年次有給休暇の請求について、労働者の時季指定権が優先されますが、例外的に事業の正常な運営を妨げる場合は、使用者の時季変更権が認められています。 しかし、退職する労働者は、退職してしまうと年次有給休暇の残日数を請求することはできません。 したがって退職日までに残日数を一括請求されたとしても、年度末で業務が忙しいなどの都合で使用者の時季変更権を行使することができず、従業員の申し出を認めざるを得ないことになります。

 ● 退職時における残日数の一括請求への対応 ●
 そこで今回の相談内容の対応としては、退職予定の従業員と話し合い、「残日数の一部の買い取り」または「退職日を一定期間延期してもらう」などの提案をすることが考えられます。
 年次有給休暇の買い取引こ関して、通達では「年次有給休暇の買い上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じ、ないし請求された日数を与えないことは、法第39条の違反である」(昭30.11.30基収4718号)として買い取りを禁じています。年次有給休暇の目的が労働者の心身の疲れを回復させ、継続して意欲的に働けるようにするためだからです。ただし、例外として、退職にともなって無効になる年次有給休暇を買い取ることは認められています。なお買い取りが義務付けられるわけではありませんので、買い取るかどうかは会社の判断によります。人手不足などを理由に、買い取りを従業員に提案し、それに応じてもらうなどの対応が必要な場合もあるでしょう。
 今年4月から年次有給休暇については時季指定や管理簿作成が義務となります。これを機会に従業員の年次有給休暇の管理を行い、退職時に一括請求されるという事態が生じないよう、計画的に取得を促すことを検討すべきでしょう。

\今月のポイント/
原則として一括請求を拒否することはできません。
ただし、残日数の一部を買い取るなどの提案は可能です。

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