労務ニュース

派遣労働者の同一労働同一賃金

     情報提供などに基づき不合理な格差や差別的待遇を是正

働き方改革の一環として同一労働同一賃金の実現を図るべく、労働者派遣法が改正され、2020年度(中小企業は2021年度)から施行されます。そのポイントを解説します。


 今回の労働者派遣法改正は、正規雇用社員(いわゆる正社員など無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用社員たる派遣労働者の不合理な待遇の格差をなくすことが目的です。

 待遇に関する情報提供義務 ◆
 派遣先事業主(以下、派遣先)は派遣労働者の受け入れに際して、派遣元事業主(以下、派遣元)と労働者派遣契約の締結にあたり、あらかじめ派遣予定の労働者と職務内容・人材活用の仕組みが同一とみなされる、派遣先で直接雇用されている労働者の賃金や賞与などの待遇に関する情報(以下、待遇に関する情報)を、書面などにより派還元に提供しなければなりません。
 これにより派遣労働者に対する不合理な待遇の格差の解消と、差別を禁止し、同一労働同一賃金を実現しようとするものです。なお派遣元は、派遣先からの情報提供がない場合、労働者派遣契約の締結が禁止されます。


◆ 不合理な待遇格差を禁止 ◆
 派還元は、派遣予定労働者と同一の業務に従事する派遣先の通常の労働者の待遇に関する情報の提供を、あらかじめ派遣先から受けることになるので、派遣予定の労働者から派遣にともなう待遇について納得感を考慮しなければなりません。
 そこで、派遣元は派遣労働者に対して、派遣先において同一の職務に従事し、職務内容の変更や配置変更の範囲なども同じと評価される派遣先の通常の労働者の待遇と不合理な格差を設けてはなりません(均等待遇)。さらに、派遣労働者が派遣業務に従事している期間中、派遣先に雇用されている通常の労働者と同一の業務に従事していると評価できる場合には、基本給や賞与といった賃金に関して情報提供を受けた派遣先の労働者より低い水準の賃金とするような差別的取り扱いをすることはできません(均衡待遇)。

 均等・均衡待遇の適応除外 ◆
 不合理な格差の禁止および差別的取り扱いの禁止については、派遣元に過度の負担をもたらす場合があるため、労使協定を締結することで例外が設けられています。
 具体的には、派遣元が、雇用する労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は労働者の過半数を代表する者と、下記の事項について書面による協定を結んだ場合には、均等・均衡待遇の規定の適用を除外することができます。この労使協定は適用対象労働者に周知しなければならず、派遣先へ派遣する労働者がこの協定の対象となる場合は、その旨を通知しなければなりません。
 つまり、派遣元としては、派遣労働者の待遇について原則となる派遣先との「均等・均衡方式」によるか「労使協定締結方式」によるか選択できることになります。



※ 適用除外となる労使協定で定めるべき事項 ※

  • ①協定の対象となる派遣労働者の範囲(1号)
  • ②対象となる派遣労働者の賃金の決定方法(イとロの条件を満たすものに限る)(2号)
  •  イ:派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであること
  •  ロ:派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験などの向上があった場合に賃金が改善されるものであること
  • ③賃金の決定の方法により派遣労働者の具体的な賃金を決定するに当たって、職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験などを公正に評価し、その賃金を決定すること(3号)
  • ④対象となる派遣労働者の賃金以外の待遇の決定方法(4号)
  • ⑤対象となる派遣労働者への段階的教育訓練の実施(5号)
  • ⑥その他厚生労働省令で定める事項(6号)

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