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今月の相談 従業員を通じて人を募集・採用する場合

労務のお悩み相談室 Q&A

今月の相談 従業員を通じて人を募集・採用する場合

【 質 問 】
  当社は作業系の事業を行っています。人手不足で、求人しても社員はおろかパートタイマーさえ応募がないので、従業員を通じて就職希望者を募り、採用に至った場合には、従業員に報奨金を出すような制度をつくろうと思いますが、問題はありますか。


【 回 答 】
 人手不足が続くなかで、従業員に応募・採用につながる人材の紹介を依頼し入社して一定期間経過・定着した場合などに、紹介した従業員に報奨金を支給するという場合があります。また、そうした「社員紹介制度」を導入している企業も増えているようです。
 労働者の募集の形態には、文書募集(求人広告などを利用した募集)、直接募集(自社のホームページなど、または社員を通じた募集)、委託募集(人材紹介会社など第三者への委託による募集)があります。このうち、委託募集については労働者保護の観点から、有料で行う場合は厚生労働大臣の許可制、無料で行う場合は届出制となっています。しかし、直接募集については、特段法的な制限はありませんが、委託募集にならないように注意しなければなりません。
 職業安定法第40条では「労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事する者または募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない」と定め、労働者の募集を行う者に報酬を与えることを原則禁止しています。ただし、例外的に自社の従業員が募集を行い、その従業員に賃金や給料その他これに準ずるものを支払って直接募集することは認められています。
 一方、労働基準法第6条では「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」と定め、労働者保護の観点から、業として継続的に労働者の就業に介入して利益を得ることを禁じています。 しかし、直接雇用している従業員から新たに従業員候補者を紹介してもらい、それに対して何らかの報奨金などを支払うことは、その紹介してくれた従業員が「紹介を業として行う」ことには該当しないものといえます。
 これらの法律に照らして考えれば、人材が不足しているので、従業員に対して「いい人がいたら紹介してほしい」程度に声掛けし、その人が入社したら薄謝として一定の金銭などを渡す程度であれば、問題はありません。
 しかし、人手不足の今日、従業員を通じた募集を制度として導入すると、なかにはSNSなどでオープンに労働者を募集し、継続的に報奨金を得ようとする者が発生しないとは限りません。したがって、職業安定法や労働基準法に抵触しないように、就業規則や賃金規程に支給基準や支給額(紹介報奨手当)、賃金に準ずるものとして支払うことなどを明確にして、制度設計に問題がないかを所轄の職業安定所や労働基準監督署に確認をしておくべきでしょう。

\今月のポイント/
報奨金を支払って従業員を通じた募集を行うことは可能です。
ただし、法律に抵触しないように明確な制度設計をしましょう。

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