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今月の相談 感染症と賃金補償の有無

労務のお悩み相談室 Q&A

今月の相談  感染症と賃金補償の有無

【 質 問 】
 これからインフルエンザの季節になります。従業員がインフルエンザなどの感染症に罹った場合には、ほかの従業員に感染しないように、治るまで1週間程度連続して年次有給休暇を取らせて休ませようと思います。年次有給休暇がない従業員に対しては3日程度は有給で特別休暇を与えて、残りは欠勤扱いで賃金控除しようと思いますが、問題はあるでしょうか。

【 解 説 】
 厚生労働省によれば、インフルエンザは、発症前日から発症後3日~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれ、感染を防ぐためにも、その間は外出を控える必要があるとしています。従業員に発症者が出た場合には、職場での感染拡大を防ぐためにも会社は発症した従業員を休ませたいところです。
 一般的には、発症した従業員自らが年次有給休暇を請求して会社を休むことが多いでしょう。療養のためとはいえ、会社が一方的に年次有給休暇の取得を命じることはできません。
 しかし、入社直後で年次有給休暇のない者や、「熱が下がったので出勤したい」と申し出た従業員に、完治まで休むように命じた場合の賃金の取扱いが問題となることがあります。

 労働基準法第26条では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と定めています。「使用者の責めに帰すべき事由」とは、経営難や生産調整などによる休業、監督官庁からの営業停止命令による休業などです。感染症法などの法律によって就業制限される労働者を休業させる場合には、使用者の責任ではありません。都道府県知事名で患者宛に書面で就業禁止などが通知されるので、会社は通知に従い、就業制限することになり、休業手当の支払義務はありません。ただし、この法律で就業禁止となる感染症の範囲は、新型インフルエンザやエボラ出血熱など特定の疾病に限られます。
 そのため、一般的な季節性インフルエンザに罹った従業員を、会社命令で休ませる場合には、前述の労働基準法第26条に基づく休業手当の支払いが必要となります。
 また、労働契約法第5条では、会社に対して、従業員の生命や健康を守るように配慮すべき義務(安全配慮義務)を求めています。季節性インフルエンザといえども、罹患した従業員を休ませることなく出社させたことにより、ほかの従業員に感染して業務ができなくなった場合、会社は安全配慮義務を怠ったということにもなりかねません。
 従業員がインフルエンザなどの感染症に罹った場合にどのような措置をとるかを、就業規則などに定めておくことを検討すべきでしょう。

           \今回のポイント/
    年次有給休暇での療養を会社が命じることはてきません。
季節性インフルエンザの罹患者を休ませる場合は休業手当の支払いが必要です。

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