労務ニュース

短時間正社員制度の導入で労働力の確保を図る

短時間正社員制度の導入で労働力の確保を図る

      人手不足でも有能な人材を確保するために

人手不足をいかに解決するかは中小企業にとって深刻な問題です。そこで労働力確保の一つの方法として注目されている短時間正社員制度の導入について紹介します。

 中小企業の労働力不足は深刻です。日本商工会議所がまとめた「人手不足等への対応に関する調査」(7月3日発表)による人員の過不足状況をみると、回答企業全体(2776社)の60.6%の企業で「不足している」と回答しています。従業員一人ひとりの働きが業績に直結する中小企業では、人手不足は大きな問題です。働き方改革の推進とともに、新たな勤務体制を設定して、これまでとは違った層の人材採用を試みたり、労働環境への配慮で定着率を上げるなど、労働力確保のための工夫が必要です。
 その1つとして注目されるのが短時間勤務制度です。政府も労働力人口を増やす制度として推進しています。そこで厚生労働省作成の「短時間正社員制度導入支援マニュアル」をもとに短時間正社員の活用法について取り上げます。

◆ 労働時間の短い正社員を活用する ◆

 短時間正社員とは、フルタイム正社員と比較して1週間の所定労働時間が短い正規型の社員です。この短時間正社員制度は、育児・介護休業法に参づく育児短時間勤務や介護短時間勤務とは異なります。
 法に基づく育児短時間勤務は、3歳に満たない子どもを養育する労働者に対して、1日の所定労働時間を原則として6時間とする勤務制度であり、3歳以降は企業の努力義務としています。また、介護短時間勤務は、介護を要する家族をもつ労働者に対して、連続する3年間以上の期間について2回以上の短時間勤務を可能とする制度です。いずれの短時間勤務制度も対象労働者や期間、所定労働時間の短縮に法的限度があります。
 しかし、ここでいう短時間正社員とは次の①と②の両方を満たしながら働く社員のことをいいます。

 ① 期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結していること。
 ② 時間当たりの基本給および賞与・退職金などの算定方法などが同種のフルタイム正社員と同等であること。

 これまで正社員は、1日8時間・週5日勤務といったフルタイム勤務を前提としていました。しかし、正社員は必ずしもフルタイム勤務である必要はありません。
 短時間正社員制度は、正社員として処遇しながら短時間の勤務を可能とする新しい働き方の仕組みです。

◆ 短時局正社員制度を導入するメリット ◆

 導入による労働者と企業それぞれのメリットは次のとおりです。

【労働者のおもなメリット】
 ① 子育て・介護・高齢・心身の健康不全の療養などでフルタイムでの勤務に制約がある人の就業の機会が広がり、ワークライフバランスが実現できる。
 ② 正社員に転換できるキャリアルートをつくることにより、意欲・能力の高いパートなどの短時間勤務者のモチベーションを向上させ、定着につなげることができる。
 ③ 育児・介護・傷病などの勤務制約によりフルタイム勤務ができない正社員を、制約期間中、短時間正社員に転換することにより、離職させることなく、継続したキャリア形成ができる。
 ④ 職場全体の長時間労働の解消を図ることができる。

【企業のおもなメリット】
 ① 将来的に正社員転換のキャリアルートがあることにより、意欲・能力のある人材獲得と労働力不足に対応できる。
 ② 社員の満足度やモチベーションが向上し、採用競争力が強化され、生産性の向上につながる。
 ③ 改正労働契約法の有期雇用契約期間5年超更新にともなう無期契約転換ルールに円滑に対応できる。

 短時間正社員制度を導入するにあたっては下図のようなプロセスにより進めることが重要です。

短時間正社員制度導入のプロセス


◆ 制度の導入に助成金を有効活用 ◆

 この制度の導入に活用できる助成金として、キャリアアップ助成金があります。短時間勤務者を有期雇用契約で採用し、6ヵ月以上経過後に正社員に転換した場合には、中小企業については転換適用者1人当たり57万円(生産性要件該当=72万円)、正社員ではなく無期雇用に転換した場合は転換適用者1入当たり28万5000円(生産性要件該当=36万円)が助成されます。ただし、転換後6ヵ月間の賃金について転換前6ヵ月間の賃金より5%以上増額させていることなど、一定の要件が必要です。
 労働力確保が困難な昨今。こうした助成金を有効に活用して、労働時間に制約はあるものの意欲・能力のある人材の採用を拡大し、将来正社員に転換するなどの道を開き、人材獲得を図るためにも、短時間正社員制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

人事・労務管理のことなら
閃光舎へお気軽にご相談ください。

お問い合わせ・ご相談はこちらから