労務ニュース

中小事業主が掛金を上乗せできる制度が新設

      -長寿化する老後に備える、もうひとつの年金「iDeCo」

 老後に備える私的年金「iDeCo」(個人型確定拠出年金)に5月から、中小事業主が掛金を上乗せして納付し、従業員の老後を支援できる制度が始まりました。

 日本は世界有数の長寿国といわれています。「平成29年簡易生命表」(厚生労働省)の調査で、現在65歳の人の平均余命は、男性が19.57歳、女性が24.43歳。女性は、65歳以降の生活が20年以上あります。また、高齢者世帯1ヵ月の生活費の平均は実収入よりも高いというデータ(総務省統計局)もあり、退職金や企業年金も含めて老後の資金を考える必要があります。
 iDeCoは、平成13年に施行された確定拠出年金法に基づいて実施された私的年金の制度です。加入対象者は、20歳以上60歳未満の方を原則とします。


◆ 中小事業主掛金納付制度 ◆
 平成30年5月より、中小事業主掛金納付制度が新設されました。これは、iDeCoに加入している従業員の加入者掛金に、中小事業主が中小事業主掛金を上乗せして拠出できる制度です。これにより、企業年金を実施していない中小企業でも、従業員の老後の所得獲得を支援することができるようになりました。
 実施できる事業主は、以下の①~③の要件すべてを満たす必要があります。

① 従業員(使用する第1号厚生年金被保険者)が100名以下であること。
② 企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金のいずれも実施していないこと。
③ 従業員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働組合がないときは従業員の過半数を代表する者に中小事業主掛金を実施することについての同意を得ること。

◆ 掛金の拠出方法 ◆
 この制度は拠出対象者となる従業員が加入者となり、拠出している加入者掛金に対して中小事業主が上乗せして拠出する仕組みです。iDeCo未加入者の従業員に対して中小事業主掛金のみを拠出することはできません。
 中小事業主掛金の額は、一定の資格(職種、勤続期間)ごとに定めることが可能です。定めた資格内においては、同一額の中小事業主掛金としなければなりません。

◆ 掛金の決定および変更 ◆
 加入者掛金と中小事業主掛金の合計額は月5000円以上2万3000円以下で、それぞれ1000円単位で決めることになります。中小事業主掛金の額の変更は、労使合意のもとに12月~翌11月の間に1回のみ行えます。


◆ 掛金の納付方法 ◆
 加入者掛金と中小事業主掛金を中小事業主が取りまとめて納付(事業主払込)します。中小事業主掛金は、加入者掛金を納付する時期と同じ時期に納付します。掛金の前納および追納はできません。


◆ 掛金の受け取り方法 ◆
 受け取り方法は以下の3つです。

① 一時金として一括で受け取る。
② 年金として5年以上20年以下の期間で受け取る。
③ 一部を一時金で一部を年金で受け取る。


◆ 税法上の取り扱い ◆
 加入者掛金は、小規模企業共済掛金控除として、本人の所得から控除できます。中小事業主掛金は企業が負担する支出として、損金に算入できます。この制度を従業員のために導入しようとする中小企業主は労使合意後に必要な事項(対象従業員、中小事業主掛金など)を地方厚生(支)局および国民年金基金連合会に届け出ることになります。

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