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勤務間インターバル制度を導入して過重労働の防止や長時間労働を抑制

5月表紙2018 

たとえ前日に残業をしても翌日の出勤時間を遅らせることで、休息に必要な時間を確保する勤務間インターバル制度。
終業時間から始業時間まで一定時間を確保。
助成金の対象にもなっている、その制度のポイントを紹介します。

 勤務間インターバル制度とは前日の仕事の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に一定時間の休息を確保しようとするものです。労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康的な生活を送ることができ、ワーク・ライフ・バランスを実現するためにも有効な制度といえます。
「働き方改革関連法案」の柱の一つでもあります。

◆ EUでは11時間のインターバル ◆

 勤務間インターバル制度はすでに欧州連合(EU)で採用されており、2000年に改訂されたEU労働時間指令に基づき、24時間につき最低連続11時間の休息時間を付与することが義務付けられています。つまり、前日の仕事が終わってから翌日の仕事が始まるまで、労働と労働の間に休息時間として11時間空けなければなりません。
 我が国の場合、一般的な会社であれば、たとえば【図1】のように、始業9時00分、終業18時00分というように、始業および終業の時刻を画一的に定めています。したがって、変形労働時間制の適用を受ける場合でなければ、前日に残業があっても翌日の始業時刻には出社しなければならず、残業が長引けば長引くほど、労働者の生活時間や睡眠時間は少なくなってしまいます。
 深夜24時まで残業すれば、その日の業務終了時刻から翌日の始業時刻まで9時間しかありません。しかも、仮に通勤に往復2時間かかるとすれば、自宅で過ごせるのは7時間。休息や睡眠が不十分なまま、翌日の仕事をすることになり、心身に疲労が蓄積し、健康を害することにもなりかねません。
 勤務間インターバル制度が導入されれば、休息時間を何時間と定めるかにもよりますが、深夜まで残業しても、その翌日はインターバル時間分として出社時刻を遅らせることができ、残業で疲れた体を癒し、睡眠も十分にとれる計算になります。
 平成29年「就労条件総合調査」(厚生労働省、常用労働者30人以上の企業が対象)によれば、実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11時間以上空いている労働者が「ほとんど全員」または「全員」と答えた企業の割合は71.6%。また、勤務間インターバル制度を「導入している」企業は1.4%、「導入を予定または検討している」企業が5.1%という結果でした。

◆ 勤務間インターバル制度の設計のポイント ◆
 勤務間インターバル制度を導入するにあたっては、まず次の3点を検討しなければなりません。

 ① インターバル時間を何時間とするか。

 ② インターバル時間が翌日の始業時刻に食い込んた場合、
   その日の始業時刻および終業時刻をそのままずらすだけで1日の所定労働時間を働くのか、
   またはその日の始業時刻のみを繰り下げて終業時刻は変更せず、翌日の労働時間を短くするのか。

 ③ 始業時刻の繰り下げを行って終業時刻を変更しない場合には、
   勤務間インターバル適用の翌日の労働時間は短くなるので、その場合、その分の賃金を控除するのか。

 たとえば【図2】は、1日8時間労働制、始業9時00分、終業18時00分、途中休憩1時間の会社で勤務間インターバル11時間制を導入した例です。
 前日24時00分まで残業した場合、18時00分以降22時00分までの残業は2割5分の割増賃金が発生します。また、22時00分以降24時00分までは深夜残業で5割増の割増賃金が発生します。しかし、勤務間インターバル制度により、翌日の始業時刻を繰り下げて11時00分を出社時刻とした場合には、終業時刻の繰り下げがなければ終業18時00分。休憩1時間を除くと実労働時間は6時間となります。
 ここで注意しておきたいのが、9時00分から11時00分までの2時間分の賃金を控除するかどうかです。
 控除しなければ、前日の割増賃金を支払ったうえで、さらに就労しない時間分に対して通常賃金を支払うことになります。これでは、前日に残業した方が得という考え方にもなります。ちなみに、EU労働時間指令では控除できません。
 このように、導入する場合には、労働時間管理と働き方のルール、賃金の支払い方法などを検討しなければなりません。

◆ 導入すれば助成金の対象にも ◆
  政府は、勤務間インターバル制度を導入する企業に対して助成金(時間外労働等改善助成金※・勤務間インターバル導入コース)を支給し、普及・促進を図っています。
 事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバル制度の導入に取り組んだ場合に、事業の実施に要した経費の一部を成果目標の達成状況に応じて、最大50万円が支給されます。

勤務間インターバル制度導入例

※時間外労働等改善助成金=平成30年度から職場意識改善助成金を改称・拡充。ニュース欄後日掲載参照ください

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