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どうなる「働き方改革」!

どうなる「働き方改革」

「働き方改革」を推進するための法律案要綱

どうなる「働き方改革」!   -時間外労働や年次有給休暇の改正動向


 政府が推進している「働き方改革」ですが、その柱のひとつが残業時間の上限規制などの労働基準法の改正です。時間外労働や有給休暇はどのように改正されるのでしょうか。


国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、日本の生産年齢人口は平成7年から平成27年までの20年間で1000万人減少し、総人口の減少を上回るぺースで減少しています。このままですと、国全体の生産力は低下し、国が衰退することになります。
 政府が推進している「働き方改革」とは、こうした我が国の現状を踏まえて、

 ① 働き手を増やすこと
 ② 出生率を高めること
 ③ 労働生産性を高めること

この3つの課題に官民一体となって取り組んでいこうとするものです。

 昨年の9月に厚生労働省から「働き方改革を推進するための関係法律の整備に間する法律案要綱」が発表され、今国会で審議されています。
 今号では、その要綱のうち柱の一つである残業時間の上限規制などに関する労働基準法の一部改正案について取り上げます。

◆ 時間外労働に関する規制強化 ◆

 OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、平成27年の日本の年間平均労働時間は1719時間と、ドイツの1371時間、フランスの1482時間、デンマークの1457時間と比べて、かなり長いといえます。
 労働生産性という視点からみると平成27年の日本人1人あたりのGDP(1時間当たりの国内総生産)は39.5ドル、ドイツのGDPは59.5ドル、フランスは60.8ドル、デンマークは63.4ドルと、日本はOECD加盟35ヵ国中20位と低い位置にあり、長時間労働によって経済を支えている国ということになります。

 女性や高齢者が働きやすい社会に変えていくためには、まずこの長時間労働を是正しなければなりません。
 そこで要綱では、「時間外及び休日労働に関する協定」(36協定)で締結できる時間外労働の上限告示(月45時間、かつ年間360時間)を法律に格上げし、違反に対しては罰則を定めています。
 また、これまでは36協定を締結していても、臨時的な特別な事情がある場合には、別途に特別条項を設けることで、36協定を超えて実質上限なく時間外労働ができるようになっていましたが、これにも上限を設けることにしています(下図参照)。

時間外労働の法規制における現行法と改正の方向性


◆ 残業月60時間超えの割増率の猶予措置が廃止 ◆

 法定労働時間(原則「1週40時間、1日8時間」)を超える時間外労働に係る割増賃金率は「2割5分」以上とされています。しかし、大企業では、すでに月60時間を超える時間外労働についてはさらに「2割5分」以上が加算され、「5割」以上の割増賃金率での計算が義務付けられています。
 この措置は中小企業には猶予されてきましたが、これを廃止し、平成34年度より中小企業に対しても適用され、経営に与えるインパクトは大きなものとなります。したがって、働き方を含めて対応策を検討しなければなりません。


◆ 年次有給休暇の与え方の改革 ◆

 我が国の年次有給休暇の取得率は平成12年以降、5割を下回る状況が続いており、「平成29年就労条件総合調査」(厚生労働省)でも、平成28年1年間の取得率は48.7%でした。平成28年に行われた28ヵ国を対象とした有給休暇の取得率に関する調査(エクスペディア・ジャパン)では、日本は最下位です。
 政府は「第4次男女共同参画基本計画」のなかで、「平成32年までに、有給休暇の取得率を70%にする」という目標を掲げています。
 そこで要綱のなかでは、労働者に年次有給休暇を取得させることを企業の義務とし、原則として、その年に10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対しては、そのうち5日を会社が時季を指定して与えることを定めています。
 さて、去る2月7日、厚生労働省は今国会に提出するこの法案について施行日をおおむね1年間延期する修正案を公表しました。今回取り上げた時間外労働の上限規制は平成31年4月ですが、中小企業は平成32年4月となり、さらに中小企業への割増率の引き上げも平成35年4月に延期するとのことです。今後の動向を注視しながら、自社の働き方を検討することが必要です。

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