労務ニュース

健康診断の受診は労働時間になるのか?

       -トラブル回避の対応術

【 質 問 】
 当社は、毎年6月に社員に定期健康診断を受けさせていますが、今回は業務の都合で、一部の社員が所定休日に受けることになりました。この場合、所定休日での受診は労働時間として、賃金を支払うべきなのでしょうか。
 また、健診費用や健診機関までの交通費についても、会社が全額負担することの見直しを検討していますが、問題はないでしょうか?

【 解 説 】
◆ 健康診断の種類 ◆
 労働安全衛生法(第66条)では、使用者は労働者に対し健康診断を実施することが義務づけられています。このうち、1年以内ごとに1回実施しなければならないのが定期健康診断(同法規則第44条)といわれるものです。定期健康診断と雇入時の健康診断(同第43条)等をあわせて、「一般健康診断」といいます。
 また、これとは別に、有害物質を取り扱う業務の従事者に対して実施が義務づけられる「特殊健康診断」があります。

◆ 受診時間と労働時間の関係 ◆
 健康診断の受診時間が労働時間にあたるかどうかは、その間、労働者が使用者の指揮命令下にあるかどうかが判断のポイントとなります。
 一般的に、特殊健康診断は、事業の遂行にからんで実施されなければならないもので、所定労働時間内に行われることを原則とするとされています。
 一方で、一般健康診断は、使用者が労働者の一般的な健康の確保を図ることを目的として実施を義務づけたもので、業務遂行との関連において行われるものではないと考えられています。このことから、特殊健康診断の受診時間については、業務関連性からみて使用者の指揮命令下に置かれた労働時間であり、一般健康診断は必ずしも使用者の指揮命令下にある労働時間であるとはいえないことになります。
 実務上では一般健康診断は、所定労働時間内に実施すれば賃金を支払うのが通常だとされますが、業務の都合などで所定労働時間外や所定休日に受診させなければならない場合などは、賃金に関して、支払い義務はなくても、受診者の負担を考慮するのが望ましいといえるでしょう。

◆ 健康診断の費用負担 ◆
 健康診断の費用については、労働安全衛生法には触れられてはいませんが、通達では、「事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものである」としています。また、労働者が健康診断受診のために指定された医療機関に出向くための交通費などは、健康診断に要する費用となると解されています。
 ただし、使用者が指定した医師ではなく、労働者が自ら選択した他の医師による健康診断を受診する場合には、その受診時間は使用者の指揮命令下にある時間とはいえないので、使用者は、その時間の賃金だけではなく、費用についても当然に負担すべきことにはならないとされます。

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