労務ニュース

労災を健保で治療を受けたときの清算は

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◆ 療養の費用の請求 ◆

 労働者が業務上または通勤途中での災害が原因でケガなどを負ったときは、労災保険で療養(補償)給付を受けることになります。
 しかし、治療を受けた診療所や病院が労災指定医療機関でなかった場合、または誤って健康保険などを使ってしまい医療機関での清算ができなくなっている場合などは、いったん治療費の全額を負担することになります。(健康保険などを使ってしまった場合は、窓口で自己負担の3割分を支払い、残りの7割分は返還請求の通知が届いてから支払います。)
 この場合、あとで労災保険に「療養の費用」として負担相当額を請求し、現金での給付を受けることができます。

 このような清算方法は、本来は労災でまかなえるはずの治療費について、労働者白身でいったん立て替え払いをしなければなりません。とくに、労災認定までに相当な時間を要したときなどは、その金額も大きくなってしまい、たいへんな負担となることがあります。


◆ 「労災」と「健保」の保険者間の調整 ◆

 そこで、今年2月に発せられた厚生労働省の通達により、こうした金銭面での負担を軽減するために、従来の方法に加えて別の方法でも調整が行われる仕組みが設けられました。
 この調整は、労災保険で療養の給付を受けるべきものを健康保険などから給付を受けた場合に、労災保険と健康保険などを運営するそれぞれの「保険者」の間で行われます。

 具体的な調整の方法は少し複雑ですので省きますが、健康保険などで治療を受け、費用の返還請求の通知を受けた労働者がしなければならないのは次のことです。

 ① 所属する事業場を管轄する労働基準監督署に対して、療養の費用の支払先を健康保険などの保険者にしてもらうように申し出ます
   (このとき、保険者から被災労働者の療養に係るレセプトを監督署が入手することについて、労働者の同意を得たことを証する書面に署名・捺印して提出します)

 ② 労働基準監督署と健康保険などの保険者の間の調整するべき金額が確定した後に、自己負担した分の療養の費用を監督署に請求するように通知が届いたら、所定の請求書を監督署に提出します
   (このとき、保険者から送付された返還通知書の原本、自己負担した分の領収書の原本、監督署長ヘの委任状など、一定の書類を添えて提出します)

 こうすることで、健康保険などの保険者に療養の費用を返還することなく、医療機関の窓口で支払った自己負担相当額をあとで戻してもらえることになります。

 なお、従来の方法でも清算はできますので、労働者が労災保険適用の事案で健康保険などを使って治療を受けてしまった場合に、その費用の清算方法について、従来の方法と新しい方法のどちらを選択するかをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

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