労務ニュース

採用後の給与を求人条件から変更できるか?

       -トラブル回避の対応術

【 質 問 】
 このたび正社員として内定した中途採用者の給与について、業務経験や担当させる業務などを考慮して、初任給は求人の際に提示していた金額を少し下回る額で決めようと考えています。
 給与を含めた労働条件通知書はこれから交付しますが、初任給のことは前もって話してはいません。
求人条件の給与額を変更することは問題があるでしょうか?


【 解 説 】
◆ 労働条件の明示 ◆
 労働基準法(第15条)では、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとされており、決定した労働条件については、書面で明示することが義務付けられています。
 この条文でいう労働条件の明示とは、労働者個人に対するものです。求人情報誌やハローワークに掲載されている求人条件は、あくまでも募集の際に提示する労働条件の目安であって、労基法で定める労働条件の明示には該当しません。

◆ 労働契約の締結 ◆
 一方で、労働契約法では、労働契約は労働者と使用者の合意により成立するとしています。ここでいう労働契約とは、賃金などの個々の労働条件が含まれますので、労働契約はそれぞれが対等の立場における合意に基づいて締結し、または変更すべきものとされています。
 したがって、労働条件が応募や面接などの時点で決定しなくても、採用時までに示された労働条件で合意できれば、労働契約が成り立つことになります。
 しかし、職業安定法では、求人広告などにより労働者の募集を行う者は、賃金を含めた募集内容について誤解が生じないよう的確な表示に努めなければならないと定めています。無用なトラブルを避けるためにも、求人内容と実際の労働条件ができるだけ食い違うことがないようにすることが重要となります。

◆ 使用者の説明責任 ◆
 求職者が応募する動機において、具体的な求人条件のうち賃金に関する事項は、他の条件と比べて大きなウェイトを占めているのが通常だといえるでしょう。また、求職者は、少なくとも求人条件で示された賃金が受けられるものと信じて応募することは確かです。
 したがって、やむを得ない事情などにより求人条件の内容と実態が異なる場合、使用者は、労働契約締結の段階で、雇い入れ後の正確な労働条件を提示する信義則上の説明責任があるものとされています。
 労働契約法(第4条)では、使用者は労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにすることが定められています。今回のケースのように、求人条件よりも低い賃金額となる場合は、それを単に伝えるだけでなく、その理由などについても誠意を持って説明し、十分に理解を得ておくことが大切となるでしょう。

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